【営業時間】10:00~22:00(不定休)

「試合中は肘の痛みが消える」野球選手 │ アドレナリンが隠すケガのリスクとコンディショニング事例

 
この記事を書いている人 - WRITER -

『試合中は肘の痛みが消える』野球肘・投球障害のサインとは|高校球児コンディショニング事例

  • 痛みはないけど、なんとなく違和感がある
  • 動き始めは痛いけど、しだいに気にならなくなる
  • 痛みがあるけど、試合中は痛みが消える

こうした状態を聞くと、 「痛みが治まったなら大丈夫」「本人が投げられると言うなら問題ない」 と考えがちですよね。

もちろん、試合でしっかり投げられている、いつも通り動けているのは素晴らしいことです。 しかし実際には、組織が回復して痛みが消えたのではなく、体をコントロールしている脳(アドレナリン)の働きによって「痛みを感じていないだけ」というケースが多くあります。

このような事例は、成長期や育成年代のジュニアアスリートに多いと感じています。

今回は、野球肘・投球障害につながりかねない違和感を抱えていた、滋賀県大津市の当サロンに来店した高校野球強豪校のエース投手の事例をご紹介します。

試合中のアドレナリンが、体の「黄色信号」を消してしまう

  • 気合が入ると痛みを忘れる!
  •  マウンドに立てばアドレナリンが出るから投げられる!

選手にとって、この気持ちはとても自然なことであり、試合中のアドレナリンは強い味方でもあります。 でも、その状態が長く続いたり、試合の登板機会が重なったりすると、無意識のうちに身体が発しているSOS(黄色信号)をミュートしてしまうのです。

痛みが麻痺している間にも、身体の中では、

  • 組織間に強い癒着が起こる
  • 関節の可動域が狭くなる
  • 関節や筋肉が本来の動きを失う

といった変化が起きていることがあります。

これは『気のせい』ではなく、脳の仕組みによる『痛覚の麻痺現象』とも言えるでしょう。

アスリートのコンディショニングを担当する者として、実は「アドレナリンって時々厄介だな」と感じることがあります。。。

選手を頑張らせてくれる味方でもあるのに、無理を支えてしまうことで、コンディショニングの邪魔をしてしまうこともあるんですよね。

【施術事例】野球肘の予兆?強豪校エース投手の「野球肘投球には影響ない違和感」

先日来店した、高校野球の強豪校でエースを務める投手の事例をご紹介します。

本人のご希望は「特に疲労や不調、痛みなどは感じていないけれど、全身の疲労抜きをしたい」とのことでした。

しかし、実際に身体の状態を詳しく見せていただくと、

  • 手首の可動域に制限がある(特に右)
  • 右の肘関節が完全に伸びきらない
  • 左前腕部の屈筋群に引き連れを感じる

という状態になっていました。

本人の話によると、

「2週間前には右肘に痛みがあったが、投げていると治ってくることがあって、今は痛くない」

「アドレナリンを出まくってるから、痛みは抑えられてる」

肘に痛みがあったとのことなので、野球肘予備軍だったかもしれませんが、病院には行かなかったとのこと。

チームのトレーナーからは「前腕の張りの強さを指摘されて、マッサージを受けた。強い痛みがある施術だったけど、少し張りが和らいだ」とも話していましたが、可動域の大きな変化はなかったとのことでした。

「今の投球には影響していない」と本人は言っていましたが、実際に触れると前腕には強い組織間の癒着があり、パンパンに張っている状態でした。

実際に前腕に触れた瞬間、「これは相当がんばって投げてるな」と感じるほどの張り。

前腕や手首だけを見るのではなく、肩や体幹、下半身まで含めて全身の繋がりを見ていくと、前腕の張りが、実は手首や肘の可動域の制限と繋がっていることがわかってきました。身体は一箇所だけで完結して動いているわけではなく、筋肉や筋膜は全身でひと続きになっています。だからこそ、不調を感じている部位だけでなく、体全体のバランスを見ながらケアを行うようにしています。

香りに包まれながら施術を受けていただくと、ご本人も気づかないうちに身体の緊張がふっとゆるむ瞬間があります。今回も、施術中は前腕に少し痛みを伴う様子でしたが、しっかりとリリース(組織の滑走性を高めるケア)を行ったことで、手首も肘も可動域に変化が感じられ、ご本人も「動かしやすくなった」と話してくれました。

「違和感」を放置すると、大きなケガに繋がる理由

もし、この「可動域制限」を放置したまま投げ続けていたら、どうなるでしょうか?

肘が伸びない、手首がうまく動かない状態で投げようとすると、身体は無意識のうちに「肩」や「体幹」など別の部位を無理に使って補おうとします(代償動作)。 その結果、負担が一点に集中し、ある日突然、靭帯損傷や疲労骨折といった「一発アウトの大きなケガ」に繋がってしまうこともあるのです。

特に、今回ご紹介している高校球児は、高校3年生で最後の夏の大会開幕の3週間前というタイミングでした。

「甲子園」を目標に小学生から野球に打ち込んできた…その積み重ねによる成果を、発揮することなく高校野球人生が終わってしまう可能性だってあります。

「ここで休んだら、レギュラーを外されるかもしれない」

「自分が投げないと、チームに迷惑がかかる」

エースを任されている選手ほど、こうした不安から、痛みや違和感があっても言い出せずにいることが多いと感じています。今回の選手も、痛みを感じていた時も痛みを訴えず、さらに可動域の制限が出ているにもかかわらず、それを不調ととらえずに投げ続けていました。

これは私個人の感覚というより、現場ではよく言われていることですが、育成年代のアスリートは、関節をはじめ身体が成長段階にあり組織として未熟であるため、疲労の蓄積やオーバーユースによるスポーツ障害が起こりやすいとされています。

高校生や大学生でも、成長スピードは個人差があるため、まだ成長過程にある部位は組織自体が柔らかい状態にあると言われているのです。

今回の選手の事例からも、大きなケガに繋がる前に「いかに早く異常に気付き、ケアできるか」が非常に重要だと改めて感じました。

心強いトレーナーの存在に、頼りきりにならないために

今回の選手のチームにも、専属のトレーナーがいらっしゃいました。

「うちのチームにはトレーナーがいるから安心」

そう思える環境があることは、選手にとっても保護者の方にとっても、本当に心強いことだと思います。日頃から身体を見てもらえる人がそばにいるというのは、それだけで大きな支えになります。

ただ、今回の選手のように、トレーナーのケアを受けて一時的に張りが和らいでも、可動域そのものには変化が見られなかった、というケースに出会うことがあります。これは、誰か一人のケアだけで身体のすべてを完璧にカバーするのが難しい、ということの表れでもあると感じています。

だからこそ、「チームで見てもらっているから大丈夫」と頼りきりになるのではなく、別の視点からも自分の身体の状態を確かめる機会を時々持つことが、選手自身を守ることに繋がるのではないかと、私は考えています。

出場機会の多い選手ほど、こまめなメンテナンスを

学生アスリートは、「休むことへの不安」や「試合に出たい」という想いから、限界を超えるまで痛みを隠そうとする、あるいは本当に痛みに気付いていないケースが多々あります。痛みや疲れを訴えてから病院や治療院に行くと、余儀なく長期離脱…となることさえあります。

試合や練習の出場機会が多い選手ほど、それだけ身体への負荷も蓄積しやすく、変化のスピードも早くなります。だからこそ、「痛みが出てから」ではなく、「痛みが出る前」から、定期的に自分の身体の状態を確かめる習慣を持っていただきたいと思っています。

学生選手、ジュニアアスリートに「ケガ予防」と「疲労回復」のケアが必要な理由

取り返しのつかない大きなケガをしてしまう前に、まずは一度、身体の「今の状態」を確かめ、蓄積した疲労をリセットすることが大切です。

ジュニアアスリートの保護者の方へ

「子供が何も言わないから大丈夫」と安心するのではなく、月に一度、あるいは大事な大会の前後など、お子様の身体の「今の状態」を一緒に確認する機会をつくってみてください。

お子様が「何も言わない」のは、不調がないからとは限りません。今回ご紹介した選手のように、本人さえ気づかないうちに、身体は黄色信号を出していることがあります。

アロマコンディショニングケアでは、アスリートの身体だけでなく環境や心からも、疲労の原因や「今の状態」を確認し適切なケアを施していきます。

施術のご相談やご予約については、公式LINEからも承っております。

この記事を書いている人 - WRITER -

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です